とうもろこし畑からの眺め

エスパ作品は平野レミ、NiziUはてれび戦士

【Nizi Project】J.Y.Parkさんのしたたかな日本戦略、虹プロの筆者的ツッコミどころ

Nizi Project 最終話放送から3ヶ月が経ち、どハマりしたオーディション時代を忘れないため感想を記事に書き残しておくことにしました。オーディション番組は数少ない映像を見ながらその子のキャラクターとデビュー後の姿を想像し、どのメンバーを選べば面白いグループになるだろうと考察することが最高に面白いんですよね。

 

そもそもNizi Project はJYPが5年以上前から存在し、途中頓挫しながらも長い間タイミングを見計らっていた日本人グループ企画であって、今回見事に大当たりしそうなところを目の当たりにして、餅ゴリ冴えてんな〜と思います。

 

一方で、韓国合宿後半8話にさしかかった頃から、番組の作りに丁寧さを欠くような、なにかとツッコミどころ満載だったので今回はそのいくつか書いていこうと思います。基本的に視聴者からつっこまれないオーディション番組はないので、笑い飛ばしてあげるスタイルで筆者はいきます。

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  筆者的ツッコミどころ

【1】キューブ使用でより際立つ、実は曖昧な評価

まず第一に、オーディション後半にかけての評価がまあまあ曖昧だったと思います。そしてその曖昧さはキューブというシステムが引き立てたものではないかなと考えました。というのも、キューブを埋めるという仕組みを用いると、評価基準を言い切る必要がうまれます。もし、そことパクジニョン氏の判断とに矛盾が生じるような場合に疑問を、持たれてしまうのは仕組み上仕方のないことだと考えます。また同じ基準が適応されているはずなのに公平に評価されていない(ように思える)子がいるのも同様で、キューブを用いて「僕は今回ここを重点的に見ます」と言っているわりには…ということがより際立って見えてくるのだと考えます。

 

オーディション番組でプロデューサーがある特定の参加者に対して評価コメントが雑、もしくは一言もない(放送されない)ということは珍しくないのですが、キューブを用いて厳格な評価基準を示してしまっているところに分母13人に対してそれぞれ適切な言及がなされないと、あれ?JYParkさんに刺さっていない子は眼中に入れてなさすぎでは?彼に何かしら刺さっている部分がないと始まらないのか?という感じで評価の曖昧さが余計気になってしまうんだと思います。(筆者的にはリリアちゃんがパークさんに深く刺さっていない子だという認識だったのですが、ステージのたびに「可能性がより見えた舞台」とひたすら「可能性」という言葉でさっと片付けられていた印象でした。)

 

キューブを用いず、ステージの度に点数や個人順位を発表するだけの場合には、”ああプロデューサーのお気に召していないのだな”で終わるところが、キューブシステムでは、”同じ基準が適応されているはずなのに….”となり、過小評価、過大評価というのがより気になってしまうといったところでしょうか。どうでしょう?

 

やはり評価基準を口では言ってはいても機械のように完全な採点方式ではなく、プロデューサーの感覚的な判断と既に用意しているデビューグループのコンセプトとの相性を見ている部分があるはずなので、パクジニョン氏の実際の言葉や判断とに矛盾する部分が多少あったり、眼中にない子が過小評価されてしまうのはまあ、仕方ないですね。キューブを使って評価基準を言い切ってしまっていたのでより粗が目立ったということで。ここは視聴者が広い心でわかってあげないといけない部分なんでしょうね。

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【2】謎の虹かけランキング、最終回前の盛大なネタバレ

筆者的2つ目のツッコミポイントは虹かけランキングであります。あれは一体なんだったんだという疑問に対して、TWICEが誕生したSIXTEEN時のパクジニョン氏の発言から想像するに、視聴者の意見、要するに誰が人気があるのかを参考にしていたのでしょう。

今回のNizi Projectでは、韓国合宿途中に突如始まり、ミッション3で全てのチームが舞台を披露し終える前に投票期間の終了を迎えました。正直意味のわからないタイミングで開催され、新たに視聴者の関心を引いた子が順位に反映される前に投票期間が終わっていたのも事実で、公平性の観点から、またオタクのためにも運営サイドがもう少し頑張ってあげてようと側から見て思いましたが。(結局虹かけランキングに関して本編で言及されることは一度もなく、存在自体が消し去られていました。どうせ言及しないならば、全チーム披露し終えるまで待ってもよかったのでは?)

 

運営の雑さ関連で話を進めると、ファイナルステージを目前にしたビハインド映像公開も代表的だと思います。これまた全く意味のわからないタイミングで宿舎でのお遊び動画を投稿アップロード。もう片側の宿所に住む子たちの映像は結局公開しないなど、オタクたちの心を理解していないプロモーションがあったのは否定できないでしょう。本編のインタビューやSNS投稿の露出に偏りが顕著になっていくことは致し方ない気もしますが、候補生の様子がわかる数少ないビハインド映像公開だったので、これまた条件の公平性の観点からどうなのかと。(公にはメンバーが視聴者投票で決まったわけではないという体なので、もう少し運営が考えてあげてもよかったのでは?)

 

それ以外にも、NiziUというグループ名が商標登録で公式発表前に出回ったり(韓国グループではよく起こるものの)、6月頭にデビューメンバー9人とマネージャーさんとの10人で街を歩いているところを盗撮されたりと、最終回メンバー決定前にかなりネタバレしていた印象でした。

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【3】完全にデビューグループの様子見、最終ミッション

続いてのツッコミどころは、最終ミッションのチーム分けであります。

 ガールズグループとして絶妙なバランスを見ました 勝村摩耶チーム" VS 個性的な子達集めました 山口真子チーム"ってどんな分け方だよ!とつっこまずにはいられなかったですね笑。結果的にマヤチーム6人に、パクジニョン氏に終始刺さりっぱなしだったマコ・アヤカ・リオの3人を足した9人でNiziUになるもんだから、結局 "ガールズグループとして絶妙なバランス"の6人で新グループの様子見してたんやろと言いたいところですが、まあ事務所の自主制作オーディション番組なんてそんなもんというところで納得しましょう。

 

そして、パーク氏の『既にキューブを3つ集めている人が多いマヤチームが上手いのは当然です。僕がチームとして上手だったと言ったことが決してそのまま評価に繋がるとは限りません。』発言の直後、2PMウヨンとTWICEモモを含めた3人での多数決にて、マヤチーム勝利が決定。

結局、ぱっと見のマヤチームじゃねーかとこれまた突っ込まずにはいられず、大爆笑でした。ここでの勝敗はデビューメンバー決定に直接的に影響しなかったので、広い心で受け止めましょう。そして笑い飛ばしてあげましょう。

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【4】放送向きに作ってみたキューブシステム

最後に、キューブのシステムは一体何だったのか考えてみたいと思います。

JYPの求める技術レベルを満たしているか、JYP的 “いい人”であるかの一つの指標として、またNizi Project=キューブという印象を多くの人に植えつけたようにストーリーのアクセントとして機能したので総合的に見て成功だったと言えると思います。「キューブを全て集めた人がデビューできる」という文言もセールスコピー的な感じで事務所によるデビューメンバー選出の過程をテレビ放送向きに上手にストーリー仕立てにし、わかりやすくしたのだと思います。

 

前で述べたように、キューブシステムを導入し判断基準をある程度明確に示さざるを得なくなると、実際の言動とに矛盾が生じた際につっこまれるというデメリットもあったと思いますが、なにせ番組のアクセントとして成功した部分が多いのでね。(キューブネタがここまでお茶の間に浸透するとは。)

 

そして、結果的に全てのマスを埋めきったのは4人。全て集められなかったもののデビューができた子が5人と、結局のところメンバー決定はパクジニョン氏の裁量次第でどうにでもなるという余白を残していたJYPはとても頭がいいということにしておきましょう。

 

外部の声を全く反映させることのなかった今回のNizi Projectオーディションは”内部審査会の様子の一部公開”と捉えた方がいいのでしょう。若い子達がそれぞれに努力し成長する過程をみせ、顔と名前を売って、情を深めさせ、デビュー後に繋げる。ある程度視聴者が納得できる基準を説明するため、簡単に理解できるよう放送用にキューブを作った。こんなところでしょう。

やはりオーディション番組を見るときは、

「視聴者はあまり熱くなりすぎないことが一番」

これに尽きるなと思います。視聴者につっこまれない完璧なオーディション番組なんてないんですから。本当に絶妙にいい感じを演出しながらうまくビジネスしてますわJYP。さすがしたたかな商人。

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しかしここまでNizi Projectが広く認知されたのはJ.Y.Park主催だったのが大きいのでしょう。地上波放送とコロナで自宅待機していた視聴者の効果も大きかろうが、餅ゴリロス、JYパーク名言集ができちゃうぐらいなので彼の哲学が視聴者の心にさぞかし刺さったのでしょう、、、。

【余談】日本向けの戦術か?ー技術よりも精神面、より穏やかに

今回のNiziProjectでパクジニョン氏は、プロの歌手・アーティスト養成するプロデューサーという面だけでなく、人間としての成長を期待する良きリーダーという部分がよく演出されていたと筆者は思います。真実・誠実・謙虚のスローガンのもと所属アーティストには人格重視の姿勢をみせ、「Be yourself. あなたはあなたのままで十分に特別」というのを全面に打ち出してきていたので、多くの初見の視聴者は感銘を受けたんではないでしょうか。

 

こういった部分が特に日本人の感性・趣向に合っていたのでしょうか。韓国でのJYP主催のオーディション番組でもこの辺の方針は変わっておらず、実際に言葉で参加者たちにも伝えていたのですが、いち視聴者の体感として今回のNizi Projectではパクジニョン氏の言葉が印象に残るよう、よくフィーチャーしていたように思います。日本のテレビという場所に合わせて、技術的な部分よりもこのような精神的な面を全面に押し出す戦術だったのでしょうか...?

やはり戦術ですなんですかね。

番組自体に韓国オーディション番組によくあるサバイバル感は薄めでした。TWICEを生んだオーディション番組SIXTEENでは参加者をメジャー組とマイナー組に分け、宿所の豪華さや送迎の有無、練習室を使える時間帯まで、いたるところの待遇に差をつけ、マイナー組の子がメジャー組の子達を引きずりおろす的なこともしてましたよね。懐かしい。

一方、日本のテレビで大衆向けに「奪い合い」的な演出は合わないですからね。みんなで協力してなんぼです。キューブを集めるなんて優しい世界です。技術面で伸びなきゃいけない子が大半だったのでみんなで頑張ろうという感じもあったのでしょうか?

 

最後におまけとして(?)、SIXTEENの時と今回のNizi Projectでは参加者のパフォーマンスを見る目つきと表情が違ってたことも一応記しておきます。2015年のSIXTEEN時は険しい表情で参加者の実力を冷静に見定めているような印象だったのですが、Nizi Projectでは朗らかな印象をうけました。

ミイヒやアヤカのパフォーマンスを見るたびにデレデレ、ニタニタ、時にゲッコゲコ笑っていたので、単にここ5年で餅ゴリが丸くなって優しくなったのか、彼を満足させられるような練習生が多かったのか、これも日本用の戦略なのか。真実やいかに。

虹プロvs SIXTEEN 表情比較

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